禁煙外来とは

禁煙外来イメージ

今現在、喫煙をされている方で禁煙をしたいと考えている方を対象としている外来になります。治療を開始するにあたっては、医師がこれまでの喫煙歴や1日あたりの喫煙本数などをお聞きします。

なお、禁煙治療は健康保険が適用されることもありますので、初診の際に適用条件を満たしているかどうかの判定もいたします。以下の表内にある項目に該当すると保険適用となりますが、適用外となった場合でも全額自己負担とはなりますが、同様の治療を受けることはできます。ちなみに健康保険適用による禁煙治療を以前受けられた方で、再度適用による禁煙治療を希望される場合は、前回の初回診察日から1年以上が経過している必要があります(1年未満であれば、以下の要件に該当していても全額自己負担)。

  • ニコチン依存症を診断するテスト(TDS:Tobacco Dependence Screener)で5点以上
  • 1日の平均的な喫煙本数×喫煙年数が200以上
  • 今すぐにでも禁煙したいと考えている
  • 文書にて禁煙治療を受けることに同意している

意志だけで止めるのは困難

禁煙がなかなか実践できないのは、自分の意志の弱さにあると考える方もいるかもしれませんが、必ずしもそれだけではありません。タバコにはニコチンという成分が含まれているのですが、喫煙し続けると脳内にあるニコチン受容体にニコチンが結合し、これによって快感が得られる物質(ドーパミン)が放出されるようになります。ただ、このような気持ちは吸うのを止めると長続きすることはなく、再び吸いたいという思う気持ちが強くなって、イライラ、落ち着きがなくなるなど依存症の症状がみられるようになります。ちなみにタバコによる依存症というのは、薬物依存に匹敵するほどの厄介さがあるとも言われています。それゆえ、ご自身の意志だけできっぱり止めるのは難しく、医療機関での治療が適切と言われているのです。

またタバコの煙には、200種類以上の有害物資があるとされ、そのうちの発がん性物質が60種類程度あるとも言われています。例え本人に有害物質を吸っている自覚があったとしても、周囲にいる方も受動喫煙することになるので、これらの方々もがんや心臓病のリスクは高くなります。また女性の喫煙は、早産や流産、低出生体重児を出生するリスクを上げますので、将来的に妊娠を望むのであれば、禁煙を実践された方がよいでしょう。

禁煙治療について

患者様を診察した結果、禁煙補助薬が必要と医師が判断すれば、ニコチンパッチかバレニクリン(商品名:チャンピックス)を用いた薬物療法となります。

ニコチンパッチ

これは貼付薬となります。パッチには少量のニコチンが含まれていて、これによって皮膚からニコチンを吸収することになります。タバコはニコチン以外にも有害物質が多分に含まれているので、まずはそこから断っていくことになります。またニコチンパッチに含まれるニコチンの量も少なくしていき、やがて禁煙を実現させるようにするというものです。

ニコチンパッチの使用方法ですが、朝の起床後に背中や腹部、上腕といった部位に貼っていき、就寝時に剥がすという使い方になります。なお同じ位置にばかり貼り続けると皮膚にかぶれなどの症状が出ますので、毎日貼る位置を替えるようにしてください。

バレニクリン

バレニクリンはニコチンの成分を含まない内服薬です。ただ同薬を服用することで、脳内のニコチン受容体をニコチンほどではありませんが刺激するようになりますので、少なくとはいえドパミンを放出されるので、イライラするなどの禁断症状は抑えられるようになります。

同薬は禁煙日の1週間前から服用していきます。従って8日目までは喫煙しながら併用ということもあります。ただ、この場合は吸い続けてもおいしいと感じなくなることが多く、1週間を待たずに禁煙を開始することもよくあります。ちなみにバレニクリンには、喫煙しても、おいしいとか気分が良いといった感覚も抑える働きがあるとされています。

このバレニクリンによる治療期間は12週間(3ヵ月)とされ、服用中は一定の間隔で5回ほど来院することになります。また副作用としては、頭痛、吐き気、不眠などの症状がこれまでに報告として挙がっています。このほか、うつ病の患者様が使用すると、さらにうつの症状が悪化しますので要注意です。